レビュー

雑感

滑らかで潤いのあるヴォーカルが聴ける貴重なヘッドホン。低域は、あまり音圧で主張してこない柔らかめの低域だが、超低域がしっかり出て音楽の下支えをするのに十分な量を持っている。質としては、暗めで温かみがあり、スピード感には欠ける。中域は、ヴォーカルやアコースティック系楽器の滑らかさが印象的で、とても心地よいが、音源のかすれや硬めの音の質感まで丸めてしまうので、打ち込み系やロックでは少し聴きやすすぎるきらいがあるかもしれない。高域は、低域の柔らかさや温かみ、中域の滑らかさとは対照的にやや尖った鳴らし方で、マイルドな音調の中で全体を引き締めるような役割を担っている。質としては、耳に刺さらない程度に少し粗っぽく鳴り、透明感や明るさは押さえ気味。伸びや抜けはそれほど良くない。音場はそれなりに広いものの、どこか平面的で立体感には欠ける。全体的に、メリハリや迫力を求める曲よりも、温かみと滑らかさ、柔らかさを求める曲に合う。