SRS-Z1
○Good!! |
・リアルで分かりやすい音像定位 ・艶があって滑らかな中域 ・スピーカー部が場所を取らない |
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×Bad... |
・低域が不足している ・超高域の抜けがいまいち ・設置環境で音が変わりやすい |
◎Point! | ある種の小型スピーカーの頂点。低域はやや物足りないが、その代わりにリアルな音像定位と滑らかな中域を得ることができた意欲作。 |
雑感
小型スピーカーの理想の音を極限まで追求した、一種の名機とも言えるスピーカー。スピーカーボックス部のサイズは幅55mm程度ととても小型であるため、マルチウェイ(高域・低域の複数ユニット)よりも定位感に優れ、自然なヴォーカルの表現が可能と言われるフルレンジの利点を気軽に楽しむことができる。小型フルレンジの宿命か、超低域の再現はさすがに厳しく、全体的に中域重視の音バランスだが、その欠点さえも忘れてしまう程に音像の定位が優秀で、ヴォーカルはまるで歌手が目の前で歌っているかのようにリアルに聴こえてくる。低域は重低音ではない普通の低域ならば、必要最低限の量が出るし、ベースの質感はややマイルドではあるものの、雑になったりせずに丁寧な表現をしてくれる。アコースティックギターやピアノ、ヴォーカル等の中高域は、滑らかで柔らかく、音の艶っぽさやかすれまで、とても落ち着いた心地よい音を鳴らしてくれる。高域は音源や音量にもよるが、ハイハットやシンバルの残響音を拾うことができるだけの解像度は持っている。やはりフルレンジであるためか、金属音等の超高域はややマイルドになり、抜けやキレがイマイチだが、ストリングスの伸びのよさはなかなか良い。打ち込み系の音は、柔らかい中高域や低域の質感や量の少なさがマイナスに働き、あまり相性はよくない。一方で、クラシック等のアコースティック系の曲では、その場の空気感まで伝わる解像度を持っており、サイズの割には音場が広く感じる。超高域の抜けや重低音をあまり必要としない曲であれば、正直価格以上の魅力があると思うが、音源の質やジャンル、設置場所、騒音の有無等で印象ががらりと変わるスピーカーでもある。スピーカーの周辺に障害物があったり、スピーカーから離れすぎたりすると、とたんに魅力が半減するので注意が必要。